2015年4月3日(金)よりJR原宿駅に掲出されている情報処理推進機構(IPA)のポスター「パスワード−もっと強くキミを守りたい−」が、反響を呼んでいます。
駅のホームから見える線路沿いのボード17面に貼られていたのは、少女漫画における「あるある」な、甘酸っぱい恋愛シーンを描いたポスター。「壁ドン(男性が女性を壁に押しつけて強引に迫る行為)」、「顎クイ(男性が女性の顎をクイッと指先で動かし目を合わさせる仕草)」、「お姫様抱っこ(男性が女性を両手で抱えかかえる様子)」など、女子の妄想シチュエーションをつめこんだイラストの数々……そのすべてで言及されているのは、「パスワード」という言葉です。
「こんなお手軽パスワードじゃ危ないぜ? お・ひ・め・さ・ま♡」
「お前にそんな単純なパスワードは 似合わないよ」
「…俺だって パスワードと同じくらい…… お前のこと守りたいんだ————」
これらのポスターを掲出したのは、情報セキュリティ対策に取り組む独立行政法人のIPA。お堅いイメージを裏切る、少女漫画ファンのツボを心得た表現と、意外すぎるセリフとのユニークな組み合わせが功を奏し、本ポスターは、大手ニュースサイトからまとめサイトにいたるまで広く話題に。写真とともに掲出の告知をした公式ツイートのリツイート数は12000を超えました(4月13日現在)。各方面で話題となったポスターは、果たしてどのような意図でつくられたのか? IPA広報の方にお話を伺いました。
——当初の課題、また制作の意図はどのようなものだったのでしょうか?
パスワードを使いまわしたり、破られたりすることで、SNSなどウェブサービスのなりすましや、インターネットバンキングの不正送金の被害などが社会問題となる中、他の世代に比べてパスワードの意識が最も低い10代の若者に、パスワードの重要さについて、いかにメッセージを伝えるかが課題でした。 関心をもってもらえない10代の若者の目にとまり、理解してもらえるよう、恋愛マンガのよくありそうなシーンを用いて、パスワードを「長く、複雑に、使い回さない」というシンプルなメッセージを伝えようと考えました。
——制作の期間はどのくらいかけられたのでしょうか。
デザイン制作はIPA監修の元で外部の制作会社に発注しました。デザイン企画を含めた提案の公募を行いましたので、その期間も含めて約5カ月です。
——反響の大きさについてはどのように感じていらっしゃいますか?
楽しみながらパスワードを大切にするメッセージを込めた15枚のマンガポスターに対して、若い世代を含めて注目を集めたことに大変驚くとともに大変うれしく思います。 とくに、SNSなどWEB上で予想を上回る反響が得られたことに驚きを感じています。
——ありがとうございました。
ポスターは、4月10日より原宿駅前の道路側へと設置場所を変更し、10月8日までの約半年間、掲出予定とのこと。パスワードを「長く」、「複雑に」、「使い回さない」というメッセージが、より多くの若者層へ浸透することが期待されます。
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■参考リンク
特設ページ パスワード−もっと強くキミを守りたい−
http://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/munekyun-pw/
IPAウェブサイト
http://www.ipa.go.jp/index.html