グループアイドル界No.1の「広告力」。虹のコンキスタドールに注目せよ。

2014.11.05

 

 アイドル評論家の竹下ジャパンと申します。昭和63年生まれ(同い年には大島優子さん、Perfumeの3人、KARAのギュリさんなど豪華絢爛です!)のワタクシが、今年から来年にかけて間違いなく売れると確信するアイドルグループを、僭越ながらご紹介したいと思います!


 
 その前段として、グループアイドルについてあらためて考えてみたいと思います。AKB48が結成されたのが2005年、それから4年後の2009年には『RIVER』でオリコン1位を初めて獲得しました。90年代後期から活動していたモーニング娘。の影響もありながら、AKB48の国民的な人気の獲得によって、複数人での活動が基本である「グループアイドル」はアイドルのメインストリームとなりました。横浜アリーナや日本武道館など1万人を超える会場でライブをおこなうことも珍しいことではなくなり、CDランキングの上位にAKB48を始めとしたグループアイドルがランクインすることも当たり前の風景となっています。

 

 握手会などでのファンとの“コミュニケーション”によって知名度を上昇させ、またビジネスを成立されているグループアイドルの隆盛は、マス・コミュニケーションを中心としてきたこれまでの広告クリエイティブも、ある部分において変容させたのでは無いでしょうか。CDやグッズという“物質的”なコンテンツを媒介として、コミュニケーションをとってきたこれまでのアーティストと違い、ライブや握手会を通し、“体験”そのものをコンテンツとして消費活動に繋げている彼女たちの存在は、現代の消費者の心理を反映しているともいえ、広告においても“アイドル的な手法”は参考にすべき部分が多いと考えられます。

 

 ただし「アイドル」であるという存在自体は、芸能活動の一環として目立つことではなく、むしろ数多いるグループアイドルのなかで、その個性が埋没しかねないのが、彼女をとりまく現在の環境とも言え、熱心なファン以外にはその魅力が届きづらい状況にあるのも事実です。

 

 

 

 

 しかし、そんななかでも非常にこれからが楽しみなグループアイドルも多く誕生しています。本稿では、そのなかでも私が一番オススメしたいユニット「虹のコンキスタドール」について熱く紹介していければと思っています。「虹コン」という愛称で親しまれる「虹のコンキスタドール」は11人組のユニット。今年の7月に結成されたばかりですが、その将来性は十分。理由を2つあげていきます。

 

■1:強力なプロデュース陣営

 

 「虹コン」のサウンドプロデューサーには、でんぱ組.incのプロデュースワークでも知られる“もふくちゃん”こと福嶋麻衣子さん、デビュー曲の『女の子むてき宣言!』の作詞・作曲には、ももいろクローバーZなどで知られる前山田健一さん、そして振り付けはPASSPO☆や夢みるアドレセンスなど多岐に渡るアイドルへの提供で知られる竹中夏海さん、ステージ衣装デザインをイラストレーターの岸田メルさん。そしてスペシャルアドバイザーとしてTVアニメ『鋼の錬金術師』の監督や、『アイカツ!―アイドルカツドウ―』のスーパーバイザーとしても知られる水島精二さんが参加。これまでに類を見ない非常に豪華な方々がバックアップしています。さまざまなアイドルの現場を肌で感じてきたクリエイター陣のコラボレーションは名前を聞いただけでもドキドキします。

 

 

 

 

■2:セカンドキャリアを見越したアイドル設計

 

 さまざまなアイドルグループが存在する現在において、その後の活動(セカンドキャリア)も非常に重要になっているのでは無いでしょうか。アイドル活動におけるスキャンダルなニュースも昨今は聞かれるなか、その活動に青春を燃やした女の子たちが、活動が終わった途端に「何をやっていけばいいのかわからない」という状況になってしまうのは、あまりにも不憫です。

 

 その点、「虹コン」を生み出したオーディション「つくドル!」プロジェクトでは、アイドルとしては、もちろんのこと、コスプレイヤーや、声優、イラストレーターなどとしての活動をも視野に入れていることを初期から宣言しています。メンバーのプロフィールを見ていても、“特撮ヒロイン”志望の奥村野乃花さんや、“イラストレーター”を目指す根本凪さんなど、アイドルでありながら、それぞれのその後のキャリアも重視していることがわかります。根本さんに関しては、彼女たちのプロデュースに参加している岸田メルさんが出演するテレビ番組『いらこん』(フジテレビ系)にレギュラー出演しています。

 

 そもそも、彼女たちが所属しているのは、イラストの投稿に特化したソーシャル・ネットワーキング・サービス「pixiv」ですが、pixivというアマチュア/プロフェッショナルのイラストレーターに広く受け入れられているサービスと、アイドルの相性は非常に良いのでは無いでしょうか。ほぼアマチュアとしてデビューした新人アイドルが、ライブや様々な活動を通し、ファンの人気、さらに一般への認知を獲得し、プロフェッショナルへと変容していく物語と、pixivが培ってきたビジュアルクリエイティブの育成機関としての役割は近いように思います。

 

 また、イラストという2次元のクリエイティブ、(生身の人間による)アイドルという3次元のクリエイティブのなかで、どちらの良さをも踏襲した「2.5次元的」な存在の魅力を、pixiv×虹のコンキスタドールというタッグによって、どのように提示してくれるのか楽しみでなりません。ちなみに、そうしたアイドルとイラスト・アニメーションのコラボレートで人気を博してきた先駆として、でんぱ組.incがあげられるでしょう。虹コンのプロデューサーとして、福嶋麻衣子さんが参加しているのも、必然のように感じられます。まだ、ライブへの出演本数も少なく、実力的に未知数な虹コンではありますが、強力なプロデュース陣、そしてこれまでのアイドルの歴史を踏まえた運営、そしてもちろん彼女たち自身の魅力が合わさったとき、グループアイドル界に間違いなくおもしろい展開を呼び込んでくれるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 グループアイドルの広告への起用は、広告単体で物語が終了するのでは無く、その後も本人×ファン、また、ファン×ファンによるコミュニケーションによって、さらなる拡がりをみせることが前提とされており、非常に効果的です。また、「虹コン」は前述のとおりコスプレイヤー、声優、イラストレーターなどでの活躍も目標として掲げており、コミックマーケットのような大規模イベントであったり、テレビアニメーションへの声優としての出演であったりと、他のアイドルではあり得ないさまざまなメディアとの接続が期待できます。「色々な顔を持つ」彼女たちだからこそ、広告クリエイティブとの掛け算で、さらにおもしろいことができるハズ。「虹コン」は、グループアイドルにおいて抜群の「広告力」の可能性を持つといっても過言ではありません。

 

 

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虹のコンキスタドール 公式サイト http://pixiv-pro.com/2zicon/

 

 

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文・竹下ジャパン
1988年生まれ。ライター、編集者。「サイゾー」、「週刊プレイボーイ」など様々な媒体で執筆中。その他、アイドルイベントの司会やプロデュース活動も。2011年よりオルタナティブ・メディア「甘噛みマガジン」編集長。