アキバNo.1のフリーマガジンに聞いたオタクに向けた話題化のヒケツ

2014.11.05

 

2014年10月に、秋葉原に新たなフリーマガジン「1UP(ワンナップ)」が誕生した。秋葉原を訪れる人向けのエリア情報マガジンでありながら発行部数は15万部と、アニメ系の商業誌を上回る読者が存在している。ワンナップでは、フリーマガジンのほかにもニュースポータルを運営し、秋葉原エリアの旬の情報も発信している。そんなワンナップにオタク、特に秋葉原ユーザーの心をつかむ秘訣を伺った。


 

■ウェブメディア全盛の時代にフリーマガジンを発行するワケ

――秋葉原の情報を扱うウェブメディアが増えているなか、どういった経緯でフリーマガジンを創刊されたのでしょうか。

 

1UP:簡潔に言えば、「秋葉原の街をもっと回遊してもらうため」です。10数年前まで、秋葉原は家電やPCパーツ、オーディオなどを扱う専門店が集まる街で、観光とは無縁の街でした。1up以降、アニメ、ゲーム関連ショップ、メイド喫茶、フィギュア、模型専門店が集まる「サブカルチャー」の街に変貌を遂げ、サブカルの最先端を行く街として観光客が集まり始めます。
秋葉原エリアには大小様々なビルが存在していますが、一見目立たない小さなビルの中にも、「アイドル専門店」「トレーディングカード専門店」「ボードゲーム専門店」「コスプレグッズ専門店」と、様々な専門店がひしめき合っています。ホビー系だけでもゆうに500を超える店舗があり、秋葉原通でも知らないようなお店がまだまだ多く存在しているのです。
そういった情報を、1店舗1店舗ネットで調べ、メモして街を歩くより、1Pめくると十数店の情報が掲載されている情報誌の方がより「街歩き」には便利と考え、フリーマガジンという形で発行しました。

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――秋葉原のエリア情報誌ながら発行部数が15万部ということは、それだけ需要があると。

 

1UP:秋葉原には、国内はもちろん海外から多くのオタク属性をもつ観光客が訪れています。しかし、初めて秋葉原を訪れた人の感想は「楽しかったけど、どこに行けばいいのかわからなかった」という意見が大半です。
それを解決するには、秋葉原の詳細な地図が必要と考えました。また、紙媒体というのは、オタク文化との親和性も高く、「創刊号からコレクションしていきます」と言って下さる方も多く、嬉しい限りです。ちなみに、大阪、名古屋、福岡等でもラックを設置し、配布しています。

 

■オタク層を意識した秋葉原ならではの何でもアリなタイアップ

――「ワンナップ」の紙面ではタイアップ企画も行なっていますが、どのような業種とのタイアップを得意としてますか?

 

1UP:やはりアニメ・ゲームが大部分を占めます。ほかにもマンガと1up_3地下アイドル、マンガと為替取引系企業のコラボレーションなど、マンガを軸とした自由な発想で企画も行なっています。変わったところでは飲料や、これからアニメ・ゲーム等の商品を展開されるお面メーカーさんなどもあり、「秋葉原」という街と人に訴求したいと考える一般の企業さんからも相談をいただいています。

 

――アニメやゲームは分かりますが、お面までタイアップするとは・・・。意外に向いてたりするんですか?

 

1UP:秋葉原に来るサブカルファン層の男性は、オタクジャンル以外にも広くアンテナを張っていることが多く、同年代の一般男性が興味を持たないことにも、興味を示す特性があります。例えば、秋葉原駅内に定期的に開催されている物産展。漬け物やまんじゅうなど、ご当地の物産品を扱っており人気を博しています。意外と30代、40代のオタク層と思われる男性客が多く集まっていて、「ワンナップ」でもそういった層にアプローチする特集を組む事も増えてきています。

 

――確かに、秋葉原では毎週のようにイベントが開催されていますね。ワンナップでもイベント実施などを行なっていますか?

 

1UP:これまでに、秋葉原の店舗とタッグを組んだ店舗連動企画を実施してきました。特にコラボカフェやスタンプラリーなどのコラボレーションを得意としています。なかには「昆布茶のソーダ割り」をメイド喫茶に提供、さらに昆布茶を使ったオリジナルメニューを提供してもらうという企画も実施しました。

 

■オタクに向けた情報発信は、早さとタイミングが重要

――ウェブメディアの「1UP情報局」も運営していますが、どういった記事に反響がありすか?

 

1UP:ゲーム・アニメ・マンガ・フィギュアといった、“秋葉原ユーザー好みの記事”は総じて反響があります。最近では、ゲームセンターで入手する事ができる人気作品のプライズフィギュアの記事が、Twitterで数千ものリツイートをされました。これに関しては、他メディアも取り上げていましたが、ワンナップでの公開が“最速”であったことと、ワンナップのツイッターアカウントをフォローして頂いている方たちの情報発信力(拡散力)が決め手となり1up_4、大手メディアより効果のある情報拡散を果たせました。

 

――やはり、最速で情報を出すことを意識していると。

 

1UP:情報伝達手段が発達した現代において、1分1秒の差が数百、数千、数万ものアクセスに影響します。そのため、最速で記事化することが目標であり、常に心がけていることです。もちろん、クオリティを必要とする記事には時間をかけて、じっくりと練る必要がありますので、どちらを選択するかは現場判断になります。
また、Twitterへの拡散を意識する場合には、記事の拡散に最も有効な時間帯を調べ、その瞬間につぶやくことでアクセス数向上を図ることも、オタクの人たちに向けた情報発信では重要です。

 

■ウェブでのタイアップ企画は、ネタ要素や独自性が拡散のカギ

――ウェブメディアでタイアップ企画をする際に、紙面とは異なる拡散のポイントはありますか?

 

1UP:例えば、店舗を紹介する記事を書く場合には、ただ店内の写真を貼付けるだけでなく、記者が顔を出して実際に利用している様子を見せます。写真だけでも面白くさせられるような工夫が必要です。また、オンラインゲームとのコラボでは、ゲームの新キャラクターが編集部を襲撃するという企画を行ない、他媒体には真似できないネタ寄りの記事を組みました。

 

――ネット上でのバイラルを狙うなら、シェアしたくなるような要素が必要ですね。

 

1UP:どちらもふざけた感じに構成しておりますが、ふざけたように見せて読み物として成立させるのは難しい。ですが、ウェブ上での拡散のためには必要な要素になります。ワンナップでは、あまり固いルールを作っていない媒体であることを活かして、他のウェブメディアよりも自由に面白く構成するように心がけています。

 

――これからは、どのような業種とのタイアップに挑戦したいですか?

 

1UP:秋葉原の人たちに親和性の高いアニメ・ゲーム系をベースとして、電化製品など同じくオタクの人たちが興味をもちそうなコンテンツとのタイアップができたら面白いと思います。

 

 

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<取材を終えて>
秋葉原という地の利を活かし、情報発信やタイアップ企画を行なっている「ワンナップ」。オタク向けのキャンペーンをイメージするとアニメやマンガなどとのコラボレーションを真っ先に思いつくが、オタク向けメディアとのタイアップや秋葉原でのリアルイベントの実施にも可能性があると感じたインタビューでした。

 

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■公式サイト 1UP情報局
http://www.kk1up.jp/