●作品の世界観を反映したコラボメニューが発売
吉祥寺で店舗を展開するカフェゼノンは、2月8日から全国の映画館で上映される映画『劇場版シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』の公開を記念し、コラボメニューの提供を1月28日から開始しました。カフェゼノンは漫画出版社グループである株式会社じぞう屋が運営するカフェで、漫画カルチャー×アートの融合を発信する場として知られています。今回は、久々に復活した『シティーハンター』に登場する冴羽獠や槇村香、海坊主といったキャラクター、「100tハンマー」などのアイテム、「もっこり」といった名フレーズをモチーフにしたメニューが楽しめます。また、姉妹店であるカフェゼノバとのコラボ企画もあり、『シティーハンター』の魅力を食事やドリンクと共に堪能できるものとなっています。
(C)北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
●20年ぶりの新作に大きな期待
『劇場版シティーハンター』は、北条司によるアクション漫画を原作としたアニメーションで、原作は85年、『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始されました。87年にTVアニメーションがスタートすると、91年までに4シリーズが放送。以降も断続的にTVスペシャルや映画も製作されていましたが、本作は、99年に放送されたTVスペシャル『シティーハンター 緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期』以来、なんと20年ぶりの新作となります。しかしながら、今回の劇場版は初日から全国200館以上で公開されることが決定しており、根強い人気と高い知名度が窺えます。プロモーションも多岐に渡っており、TwitterなどSNSを使ったものから、スマホゲーム『モンスターストライク』、たこ焼き店『築地銀だこ』とのコラボレートまで、業種を問わない幅広い企業コラボが話題を呼んでいます。
モンスターストライクとのコラボページ。https://www.monster-strike.com/promotion/cityhunter/
スギちゃんや小島よしおらが「Get Wild」のPVに登場するコラボ動画も話題に。
●『週刊少年ジャンプ』黄金期を支えた作品
85年から漫画連載がスタートした『シティーハンター』が、なぜ現在でも人気を維持しているのか、その理由を紐解いてみましょう。ひとつは、『週刊少年ジャンプ』の黄金期を支えた作品であることです。本作の漫画が掲載された85~91年は、『ドラゴンボール』(84年~)や『聖闘士星矢』(86年~)、『ジョジョの奇妙な冒険』(86年~)など、のちにアニメ化される作品が次々とスタートし、『週刊少年ジャンプ』が部数を伸ばし続けた時期に当たります。『シティーハンター』はアニメもヒットしたことによる相乗効果もあり、コミックスの累計発行部数が全世界で5000万部を超えました。また、『シティーハンター』のパラレルワールド的作品で、2015年には実写化も行われた『エンジェル・ハート』(2001年~2010年)も人気を博し、現在に至るまで高い知名度を誇るに至ったのです。
●数々の女性を虜にした主人公、冴羽獠のギャップ
『シティーハンター』は、新宿に拠点を置くスイーパー(始末屋)である冴羽獠が、パートナー槇村香と共に、様々な依頼に応えていくハードボイルド作品。暗殺やボディーガード、人探しなど依頼は多岐に及ぶものの、そのほとんどが危険な仕事ばかり。ですが、冴羽獠は圧倒的な格闘術と射撃センスを武器に、事件や依頼をことごとく解決に導いていきます。普段は「もっこり獠ちゃん」を自称するほど女性好きで三枚目に振る舞う彼がコメディタッチで描かれますが、任務時をこなすときはクールな二枚目に変貌します。少年誌連載であり、ときにライトなシモネタも挟む本作ですが、そんな彼のギャップに心を奪われた女性が多いのも特徴と言えます(ちなみに物語序盤はよりハードボイルド色が強いもので、冴羽獠のパートナーは香の兄・槇村秀幸でした)。
©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
●バブル期の華やかな都会を映し出した映像と音楽
また、80年代~90年代前半の、いわゆるバブル期の東京・新宿を舞台とした大人の現代劇であるのも大きな魅力のひとつ。コンクリートジャングルとも称された高層ビル群の中でスタイリッシュに躍動する彼らの姿は、筆者のような地方出身者にとっては憧れでもありました。
さらにそうした都会的な情景をきらびやかに彩ったのが、TM NETWORKなど、主題歌を担当したアーティストたちの音楽でした。作品タイトルを連呼するようなタイアップソングではなく、当時のJ-POP/J-ROCKシーンの最先端のサウンドが使用され、トレンディドラマのような洗練されたムードが形作られたのです。今回の劇場版のテーマソングになっている「Get Wild」を歌うTM NETWORKのほか、PSY・S、小比類巻かほるや岡村靖幸まで、当時のソニー(CBS&エピック)が新鋭として売り出していた彼らのサウンドが果たした役割も、作品にとって重要なピースのひとつであったと言えるでしょう。
本作が20年ぶりの復活にもかかわらず、全国各地で一斉に上映が行われる状況を見ても、連載や放送当時に原作やTVアニメを視聴していた層が、いまでも作品に興味を抱いているのは明白です。その知名度だけでなく、女性層やカルチャー層への高い好感度、現代劇ならではの扱いやすさなど、企業がコラボレートしやすい複数の要素を『シティーハンター』は兼ね備えており、それが多くのプロモーション広告にも繋がっているのです。
作品名:『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』
2019年2月8日公開
◇イントロダクション
2019年、北条 司原作の大ヒットアニメ『シティーハンター』が新作長編映画で帰ってくる!
主人公・冴羽 獠役の神谷 明をはじめ、オリジナル声優陣が再結集。獠に依頼をする進藤亜衣役に飯豊まりえ、獠の相棒、香の幼馴染でIT企業経営者、御国真司役に山寺宏一、さらにチュートリアル・徳井義実がゲスト参加!
スタッフは総監督をこだま兼嗣、脚本を加藤陽一、制作をサンライズが務める。
完全新作ストーリーで、伝説の名作が再び動き出す!
[キャスト]
冴羽 獠:神谷 明/槇村 香:伊倉一恵/進藤亜衣:飯豊まりえ/御国真司:山寺宏一/野上冴子:一龍斎春水/海坊主:玄田哲章/美樹:小山茉美/ヴィンス・イングラード:大塚芳忠/来生瞳・泪:戸田恵子/来生愛:坂本千夏/<特別出演>コニータ:徳井義実(チュートリアル)
[スタッフ]
原作:北条 司/総監督:こだま兼嗣/脚本:加藤陽一/チーフ演出:佐藤照雄・京極尚彦/キャラクターデザイン:高橋久美子・菱沼義仁/総作画監督:菱沼義仁/美術監督:加藤 浩(ととにゃん)/色彩設計:久保木裕一/撮影監督:長田雄一郎/編集:今井大介(JAYFILM)/音楽:岩崎 琢/音響監督:長崎行男/音響制作:AUDIO PLANNING U/アニメーション制作:サンライズ/配給:アニプレックス
エンディングテーマ:「Get Wild」TM NETWORK
◆公式サイト:https://cityhunter-movie.com/
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[Instagram] https://www.instagram.com/cityhuntermovie/
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文・森樹
カルチャー文筆業。アニメ、音楽、お笑い、漫画など幅広いジャンルの原稿を手掛けています。主に、QUICK JAPAN、Meets、SAVVYといった雑誌に寄稿。