日本のポップカルチャーを世界に発信すべく、マンガ、アニメ、ラノベ、エンタメ小説の各分野で優れた作品を表彰する「SUGOI JAPAN Award2016」（主催：SUGOI JAPAN実行委員会／読売新聞社）の贈賞式が、3月22日、よみうり大手町ホールにて行われました。。

 

　最終審査には選考委員が存在せず、ファンからの投票のみで作品を選ぶ本アワードですが、『ワンパンマン』（マンガ部門）、『四月は君の嘘』（アニメ部門）、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』（ラノベ部門）、『屍者の帝国』（エンタメ小説部門）の4作が最優秀作（投票数1位）に選ばれました。

「SUGOI JAPAN Award2016」贈賞式の様子。各部門の受賞者と、ゲストの佐野ひなこ（左端）

 

　SUGOI JAPAN Awardは、2015年からスタートしたファン投票形式のアワードで、「マンガ」、「アニメ」、「ラノベ」、「エンタメ小説」の4つのカテゴリで構成。「この素晴らしい作品を日本国内だけでなく世界中の人々にも紹介したい！」をコンセプトに、ファン自身が作品を選ぶポップカルチャーアワードとなっています。投票対象となったのは、アニメは放送ベースで過去一年分、残りの3カテゴリは発売ベースで過去約3年半分となっています。その中から一次審査として、4カテゴリ計1000作品以上をリストアップし、さらに一般及び有識者推薦で選ばれた計92作品を「SUGOI 20（スゴイトゥエンティー）」として候補作に認定。最終審査となる国民投票が2015年11月16日～2016年1月3日まで行われました。

 

　第1回目となった昨年は、TVシリーズが反響を呼び、劇場版も制作された『魔法少女まどか☆マギカ』（アニメ部門）や、実写映画もヒットした『進撃の巨人』（マンガ部門）がトップに立つなど、世間の人気・評価がそのまま反映された内容となり、「ファンが選ぶ作品」の名に恥じないラインナップが話題となりました。

 

　そして今回も、マニアから一般層に至るまで、総合的に高い評価・人気を獲得している作品が選ばれました。マンガ部門1位の『ワンパンマン』は、ONEによるwebマンガを、『アイシールド21』の村田雄介がリメイクした作品で、昨年にはアニメ化も実現した人気作。敵をワンパンチで倒してしまうヒーロー・サイタマを主人公としたシンプルながら熱いストーリーと、村田氏による精緻かつダイナミックな筆致は、海外にも多くのファンを抱えています。2位にアニメ版も評価の高かった『東京喰種トーキョーグール』、3位に女性人気も獲得したバレーボール漫画『ハイキュー!!』、5位にはハーレムコメディ『モンスター娘のいる日常』が選ばれるなど、大きくジャンルの異なる作品がランキングに並ぶ形となりました。

マンガ部門1位に選ばれた『ワンマンパン』（原作：ONE／漫画：村田雄介）

マンガ部門最終投票結果

 

　アニメ部門1位には、クラシックと男女の友情・恋愛をテーマにした『四月は君の嘘』が選ばれました。2014年10月から2クール放送されたアニメ版がその人気を後押しし、OADも制作されました。また、2016年には実写映画も公開される予定です。2位にはアニメ業界を制作進行の立場からリアルに描いて話題となった『SHIROBAKO』、5位には劇場版も公開された『PSYCHO-PASS』がランクインしました。原作物、オリジナル物ともにランクインする中で、1位、5位に作品を送り込んだフジテレビの「ノイタミナ」枠の人気の高さ・ブランド力が窺えます。

（監督：イシグロキョウヘイ／制作・パッケージ販売 ： A-1 Pictures　アニプレックス）

アニメ部門最終投票結果

 

　ラノベ部門では、『ダンまち』との略称で知られる『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』が1位に。2015年にアニメ化もされ、ヒロイン・ヘスティアの“例の紐”のある服装が海外でも話題となるなど、注目度は一般層にも広がりました。2位以降も、3位『甘城ブリリアントパーク』や4位『オーバーロード』といった、アニメ化によってさらに人気を高めた作品がランクイン。エンタメ小説部門では、アニメ劇場版が公開された『屍者の帝国』が1位に。そのほか、2位に『階段島』シリーズ、3位に『アリス殺し』など、ミステリー作品に人気が集まったのが特徴と言えます。

（左）ラノベ部門1位の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』
（著者：大森藤ノ／イラスト：ヤスダスズヒト／SBクリエイティブ　GA文庫）
（右）エンタメ小説部門1位の『屍者の帝国』
（著者：伊藤計劃、円城塔／河出書房新社　河出文庫）

ラノベ部門最終投票結果

エンタメ小説部門最終投票結果

 

　4つのカテゴリともランクインした作品のジャンルは幅広く、バラエティに富んだものとなっています。一方で、特定の分野で人気のある作品が、アニメ化によってより多くの層に知られることになり、さらなるファンを獲得する流れが明確になっています。日本の「SUGOI」カルチャーを世界に発信していく上では、アニメーションでの展開が大きな鍵を握っていると言えるでしょう。

 

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