著名人を起用した、劇的な体型の変化を示すbefore/after写真、そして“結果にコミットする”という印象的なキャッチフレーズが流れるTVCMが話題となっているパーソナルトレーニングジム・RIZAP(ライザップ)。彼らが新たなプロモーションとして取り組んだのは、『銀河鉄道999(以下、999)』とコラボレート企画をWEB上で展開するという、これまでとはベクトルの異なるものとなりました。その理由を、ライザップの多田有理沙氏と、コラボ企画を共同で手がけたダブルエル担当者・松田永浩氏に話を伺いました。
RIZAPはそのインパクト抜群のTVCMによって、知名度を飛躍的に高めることに成功した企業と言えます。事実、パーソナルジムとして異例の会員数(※2017年8月末時点8.9万人を突破)を獲得しており、現在も会員数は延び続けている状況は、CMなくしてなかったのではないでしょうか。一方で、RIZAPは、体型や目標、年齢に応じたトレーニング策定や、栄養学に基づいた食事管理法など、“どのように痩せるのか”を追求したRIZAPメソッドと呼ばれる理論を確立しています。パーソナルジムとしての特徴を幅広く知ってもらうためにはじめられたのが、WEB上で展開されたコラボ企画「RIZAP×『銀河鉄道999』~理想のボディを手に入れるための新たな旅~」です。
「RIZAPは年齢、男女を問わず幅広く多くの方々に通っていただいております。ただ、メタボ予備軍が多くいるといわれ、健康に気を遣う40~50代の男性層に、より我々のサービスを知ってもらいたいという気持ちがありました。TVCMだけでは伝えきれない、魅力的なサービスをきちんと説明できるような、それでいて面白いWEBプロモーションを――そのような考えから生まれたのが、40~50代の方が子供の頃に読まれていた松本零士先生のコミック『銀河鉄道999』とコラボレートする案でした」(RIZAP・多田氏)
RIZAPは、コミックコンテンツを使ったプロモーションに強く、海外展開も手掛ける株式会社ダブルエルと連携。銀河を鉄道で旅するという『999』が持つコンセプトを活かし、「RIZAP星」をはじめ、「ぼっち星」や「まぼろし星」など、現代日本の様々な問題を反映した5つのオリジナル星を考案。鉄郎とメーテルの会話を軸に、RIZAPのサービスを紹介していく特設ページを開設しました(8月1日~)。
「『銀河鉄道999』は、「理想の身体を手に入れるために銀河中を旅する」という物語が、目標に向かって理想の身体を作り上げるRIZAPのサービスと符号するところがあります。また、鉄郎をガイドするメーテルの存在と立ち位置が、トレーナーと近いというのも、今回コラボレートをする決め手となりました」(多田氏)
今回のコラボレートでは、松本零士氏監修によって45歳(!)の鉄郎とRIZAP仕様のメーテルが新たに描き下ろされたほか、原作のコマをイメージビジュアルとして掲載し、オリジナルストーリーに導入するという驚きの手法が取られました。原作コマの流用は、ひとつ間違えばファンからの反発もあるリスキーな挑戦と言えますが、どのように企画を練り上げていったのでしょうか。
「『銀河鉄道999』には、「理想の体を手に入れる旅」という一文では言い表せない、人間社会を掘り下げた非常に深い世界観があります。このテーマも2017年に蘇らせられないか、という気持ちもありました。今、漫画を読み返してみても、行き過ぎた機械文明に警鐘を鳴らしている先見性は素晴らしいものです。それは、現代における暴飲暴食やSNSとの付き合い方といった大きな問題を組み合わせても違和感がない。その温度感やコンセプトを基に、オリジナルストーリーの作成に至りました」(ダブルエル・松田氏)
サブコーナーである「メーテルのメタボ診断♡」にも原作のコマが使われているほか、本企画で書き起こしされたメーテルの作画から3Dプリント技術で制作したオリジナルフィギュアをプレゼントする企画など、今回のホームページは、原作ファンにとっても、身体づくりに興味がある人にとっても充実したコンテンツを備えています。事実、今回のプロモーションの反応は上々で、問い合わせの数は既存のプロモーションの十倍程度あるといいます。
「ターゲットであった40~50代の男性はもちろんですが、次に20~30代の女性が多かったのは意外な反応でした。親世代にファンが多い方や、お父さんに薦める、という方も多いのではと推測しています。また、RIZAPのお客様からの反応が良いのも特徴で、友人・知人にRIZAPを紹介していただくツールとしても使っていただけているようです」(多田氏)
今回のプロモーションの好反応を受けて、カルチャー系コンテンツだけでなく、シルバー向けや美容に特化したプロモーションも展開していきたいと、多田氏は話します。
「WEB上では、世の中方々が現在持たれているRIZAPのイメージをより良いものにしていく取り組みをしたいと考えています。例えば結婚式場サイトとコラボしてエステ感覚で使えることをお伝えしたり、足腰に不安がある高齢者向の方でも安全に安心して通っていただけるサービスの紹介したり。そのサービスの幅広さを、今回のようなプロモーションで紹介できればと思います」(多田氏)
パーソナルトレーニングジムという、一見敷居が高いサービスを、TVCMのインパクトで払拭した感のあるRIZAP。今後は『銀河鉄道999』とのコラボのように、カルチャー系のプロモーションにも積極的に乗り出すことでサービスへの理解や関心を獲得していく一方、美容や健康維持を総合的にサポートする企業としてのイメージづくりが進むことになりそうです。