▼徳島に8万人の参加者が来場!
昨年5月のレポートに続いて、今回も徳島県徳島市で10月のシルバーウィーク期間を中心に開催された「マチ★アソビ」のレポートをお届け!
「マチ★アソビ」とは、徳島県徳島市にて2009年10月から開催されている、「“徳島をアソビ尽くす”ことを目的とした複合エンターテインメントイベント」。第15回目を迎え、記念すべき節目となった今回は、150近いイベントが開催され、約8万人以上の参加者が集まりました。
※開催に関する経緯などについては、前回のレポートをご覧ください。
フライヤー表/裏(クリックで拡大)
期間中は、徳島市中心部に多くのアニメ・ゲーム・声優・漫画ファンが集まり、トークイベントや上映イベント、屋外ライブ、出展企業による商品販売などさまざな催しが行われています。
▼いざ、マチ★アソビ!
まずは徳島への移動です。当日は羽田空港から徳島阿波おどり空港への空路での移動でしたが、到着早々、空港がマチ★アソビ仕様に飾られています。アニメも放送された人気アクションゲーム『GOD EATER』の敵キャラ、アラガミ・ヴァジュラの巨大立体物と、同作のロゴを配した痛車が展示されていました。さらに、タペストリーとして多くの作品の広告ビジュアルが掲出されており徳島上陸と同時にテンションが高まります!
徳島阿波おどり空港に掲出されたタペストリーとヴァジュラ
人気アクションゲーム『GOD EATER』の痛車
市内中心部に到着後、まずはマチ★アソビのメインストリートとも言うべき商店街・東新町商店街へ。この商店街には、総合プロデューサーを務める近藤光さんのアニメ制作会社・ufotable(ユーフォーテーブル)が手がける映画館「ufotable cinema」を中心に、専門ショップや展示スペース、ゲームメーカーの試遊スペースが立ち並びます。この商店街をキャットウォークにしたコスプレファッションショーなども開催されるため、期間中は常に人出が絶えません。
東新町商店街に飾られていた徳島阿波おどりのポスターを一枚絵につなげた巨大タペストリー
ufotable cinema
SEGAブースがあることを見越してか、商店街の眼鏡店が初音ミクとコラボ!
さらに市内を流れる新町川沿いにあるボードウォークエリアへ移動。ここには、出展企業のパラソルショップが並んでおり、こちらも常に人が行き交っています。出展しているブースは、サブカル・コンテンツ業界の物販が多いのですが、地域店舗の軽食販売も近頃多くなってきています。さらに、今回は最終日に自衛隊(自衛隊徳島地方協力本部)が出展してチラシ配布などの広報活動を実施。夏コミ(C88)でも出展していた、イラストレーター・深崎暮人さんによるイメージキャラクター「自衛隊三人娘」のパネル展示が目立っていました。
また、このボードウォークの端には東公園ステージという数百人が観覧可能なスペースがあり、ここでさまざまなイベントが開催されています。トークイベント、テレビやラジオの公開収録などがありますが、レギュラーとなっているのが「チャリティオークション」です。これは参加企業による有志メンバーによるイベントで、自社のお宝グッズをオークション出品物として提供し、参加者が支払うよる落札金を東日本大震災のチャリティーとするという企画です。ここで飛び出す商品はサイン入りのものも多く、なかには数十万円になるものも!
ボードウォーク全景
アニプレックスブース
出版社・星海社ブースでは著者サイン本を販売
自衛隊ブースには深崎暮人さんによる美少女イメージキャラクターが
東公園ステージでのチャリティオークション
▼秋のアニメの祭典「NewTypeアニメアワード」
GWに開催されるマチ★アソビにはない、秋のマチ★アソビの大きな特徴としては、徳島市内にある眉山の山頂ステージでのイベントがあります。ライブイベントやトークイベントが開催されていますが、そのなかでも目玉と言うべきイベントが。それが、アニメ情報誌「Newtype」(KADOKAWA刊)がufotableとコラボして毎年実施している「Newtype×マチ★アソビ アニメアワード」です。これはすべてファン投票によってさまざまな作品・スタッフ・声優に賞が贈られており、今回で5回目となります。その発表は秋のマチ★アソビで発表し受賞式も行われていて、登壇した受賞スタッフの手形レリーフがufotable cinema入口に飾られます。
眉山山頂で行われた授賞式の様子
眉山山頂から臨む、徳島市内の美しい夜景!
2013年に受賞した『Fate/Zero』の監督・あおきえいさんと、作画監督・須藤さんらによるレリーフ
▼「アニメイベント」×「釣り」?!
今回、筆者も初体験だったのが、「釣りイベント」です。ボードウォークや東公園ステージがある対岸はコスプレイヤーによる撮影ゾーンになっているのですが、2日目の夕方には、『マージナル・オペレーション』『声優魂』などを発行する、出版社・星海社主催の釣りイベントが開催されました。(ちなみに釣りアニメのタイアップというわけではなく、星海社に所属する釣り好き編集者が発案者)今回、このイベントはすでに3回目の開催となり、50人近くが参加する意外な人気企画となっています。さらに、釣具レンタルやスタッフによるサポートは市内の釣具屋「高橋釣具店」協力のもと行われており、さらには行政側の協力も得て実施されているという地元・徳島とのつながりも深いイベントなのです。「アニメ×釣り」……こんな組み合わせを受け入れてしまうイベントはおそらく世界中を探してもそうはないでしょう!
釣りイベント参加者の写真をパチリ
▼地元メディア・企業とのタイアップは?
マチ★アソビは、ボランティアスタッフや県職員のサポートをはじめ、参加企業スタッフの地道な働きで成り立っています。実際、会場周辺を歩いていても、警備・誘導の警備員はごくわずか。約8万人を超える動員がありながら、大きな混乱もなく、この規模のイベントが成り立っています。
なぜそんなことが可能なのでしょうか? その理由は、マチ★アソビ最大の特徴でもあるのですが、参加者のイベント参加に対する「調和を乱さない」という意識が非常に高いからだと言えます。イベント整理券に並ぶ列を参加者たちが自主的に整列したり、会場移動中の出演者や人気声優・歌手が、なにげなく歩いていても買い物などを楽しめる“ゆるさ”があります。さらに、運営に必要な資金の一部は参加者自らがスポンサーとなる「パーソナルスポンサー」という制度も2012年から導入。参加者一人ひとりが「自分たちがこのイベントを作っている」という意識が根付いてきているということが、イベント開催の下支えとなっているのでしょう。
「Fate」シリーズを制作するゲームメーカー・TYPE-MOONが展示したFerrari F430の痛車
徳島新聞のマチ★アソビ号外に掲出されていた日本コカ・コーラの広告記事
徳島阿波おどり空港に掲出されていた、アニメ「Wake Up Girls!」劇場版告知タペストリー
筆者がマチ★アソビというイベントに参加し続けて感じるのが、「常に新しい取り組みを試みている」ということ。これは、総合プロデューサー・近藤光さんが「徳島に来てくれた人の満足度を高めたい」とよく発言されていますが、こうしたイベント全体のスタンスが来場者のリピーター率が半数を占める(※実行委員会調べ)という驚きの数字に現れているのではないでしょうか。
このほかにも、多くの上映イベントやトークイベント、ライブイベント、参加型イベントがありますが、今回は企業・団体の展示を中心にお伝えしました。徳島にゆかりがある企業や団体、作品があればタイアップしない手はありませんよ!
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取材・文:瀬島卓也
雑誌「広告批評」編集者を経て、現在はクリエイティブスタジオ「1-10design,inc.」のプランナー、プロデューサー。TVアニメ「ブブキ・ブランキ」「アルドノア・ゼロ」などの作品関連デザインのディレクションをはじめ、アニメをはじめとするエンタメ・コンテンツと広告をつなぐ案件を多く手がけている。Twitterアカウント= @sezitak
■参考リンク
マチ★アソビ
http://www.machiasobi.com/
ufotable
http://www.ufotable.com/